多くの企業では、販売促進(販促)活動の一環として様々なキャンペーンを実施し、効果を高めています。そのキャンペーンの一種に、「マストバイキャンペーン」というキャンペーンがありますが、その意味をご存じでしょうか?
マストバイキャンペーンはハガキを利用したアナログのものから、SNSやWEBを使った手法などを用いり、様々な企業が販売促進に役立てています。
この記事ではマストバイキャンペーンの基本的な概要と仕組みについて徹底解説いたします。
マストバイキャンペーンとは?
マストバイキャンペーンとは、特定の商品の購入を応募資格とするクローズドキャンペーンの一種です。
実施する目的
マストバイキャンペーンの目的は、消費者の購買意欲を刺激し、特定の商品の売上をアップさせることです。これにより、企業は短期間での売上アップを図ることができ、同時にブランドの認知度や好感度を高めるメリットがあります。さらに、リピート購入を促進するための戦略としても効果的な方法です。
マストバイキャンペーンの仕組み
消費者が対象商品を購入し、その証拠としてレシートや賞品に添付されているシリアルコードなどを購買証明として用意します。これをハガキ等で郵送したり、特設のWEBサイトや公式LINEアカウント等に入力することで応募が完了します。
具体的な活用例
例えば、飲料メーカーなどでよく実施されているキャンペーンとして、新商品の購入を応募資格とする「限定グッズがもらえるキャンペーン」や「クーポン配布キャンペーン」などがあります。このようなキャンペーンは、特定の商品に対する消費者の関心を一気に高めるマストバイキャンペーンと相性が良く、販促の手段としてよく活用されています。
また、マストバイキャンペーンは、インスタントウィンやマイレージなどの様々なタイプのキャンペーンと併用して実施可能です。具体的にはインスタントウィンを利用し、応募のハードルを下げることで、応募数の増加を狙ったり、複数購入が条件のマイレージキャンペーンと組み合わせることで、複数回の購入を促進し、長期的な売上向上を狙うなどが挙げられます。
購買証明の種類
マストバイキャンペーンにはレシートをはじめ、様々な購買証明があります。以下に代表的な購買証明の種類と、それぞれの特徴やメリットについて詳しく説明します。
いずれの方法にも一長一短がありますが、キャンペーンの目的やターゲットとする顧客層に最適な購買証明の種類を選ぶことが重要です。購買証明の選定は、キャンペーンの成功に直結する要素の一つであり、慎重に検討する必要があります。
レシートを使った購買証明
レシートを使った応募方法は、マストバイキャンペーンにおける非常に一般的かつ効果的な手法です。
この方法では、購入した商品のレシートを使って応募することになるため、消費者にとっても手軽であり、企業側にとっても購入の証明が確実に得られるというメリットがあります。オンラインと郵送の2種類があり、それぞれに以下のような特徴とメリットがあります。
応募方法 | 手順 | 利点 | ターゲット |
---|---|---|---|
オンライン応募 | ・レシートをスマートフォンで撮影し、画像をアップロード | ・迅速かつ簡便、手間が少ない | ・簡単に応募を完結したい、デジタルデバイスに馴染みのある消費者に有効 |
郵送応募 | ・応募用紙に必要事項を記入し、レシートを添付して郵送 | ・システムの構築が必要ない ・一部の消費者にとってはオンラインよりも応募方法が分かりやすい | ・高齢者などのデジタルデバイスに不慣れな消費者にも利用しやすい |
ポイント
- ・応募資格となる商品のターゲットに合わせてオンラインと郵送を使い分ける
- ・応募が集中する期間には、特に確認作業が滞らないように、適切な人員配置やシステムの調整を行ったうえで実施する
シリアルナンバーでの購買証明
シリアルナンバーでの応募方法は、レシートと並んでマストバイキャンペーンにおいて非常に効果的な手法の一つです。これは、商品に付属するシリアルナンバーを使って応募する形式です。商品購入後、パッケージや商品本体に記載されているシリアルナンバーを専用の応募サイトやアプリに入力することで、キャンペーンに参加することができます。
この方法は、ユニークなシリアルナンバーを利用することで確実に商品の購入を証明できるメリットがあります。他にも以下のような特徴やメリットがあります。
メリット | 詳細 |
---|---|
購入証明 | シリアルナンバーを利用することで、商品の購入を確実に証明できる |
不正応募防止 | シリアルナンバーにより不正な応募を防止し、キャンペーンの信頼性を高める |
二重応募防止 | シリアルナンバーは一意であり、二重応募を防ぐ仕組みとして機能する |
公平な抽選 | 二重応募防止により、公平な抽選が実現され、消費者の信頼を得ることができる |
ポイント
- ・大量のシリアルナンバーを生成し、適切に管理するためのシステムが必要
- ・不正アクセスや情報漏洩を防ぎ、消費者のデータを安全に守るため、応募サイトやアプリのセキュリティ対策も必要になる
その他の購買証明
マストバイキャンペーンの応募方法は多岐にわたりますが、レシートやシリアルナンバー以外にも様々な方法が存在します。以下では、それらのその他の応募方法について詳しく解説します。
商品パッケージ
商品パッケージの一部を使用する方法があります。この方法では、特定の商品のパッケージから切り取った部分を応募券として利用します。
シール
商品に添付されたシールを使用する方法も一般的です。特定の商品に専用のシールを貼り付け、そのシールを集めて応募する形式です。
この方法は、実際にシールが貯まっていく状況を消費者が確認でき、商品購入へのモチベーションを高めることが可能です。「シールを●枚集めたら必ず当たるキャンペーン」などマイレージ形式と組み合わせることが多いです。
QRコード
QRコードを活用した応募方法も増えてきています。
商品パッケージや広告に印刷されたQRコードをスマートフォンでスキャンすると、専用の応募フォームにアクセスできる仕組みです。この方法は、応募手続きを簡素化し、消費者の利便性を向上させます。
例えばシリアルと組み合わせ、消費者のシリアル入力の手間を省いたり、QRコードを読み込むことで応募に必要な合言葉を表示させることなども可能です。
これらの応募方法を組み合わせることで、多様な消費者層にアプローチすることが可能です。たとえば、デジタルデバイスに慣れている若年層にはシリアルナンバーやバーコードの方法を、よりアナログな方法を好む高齢者にはレシートやシールの方法を提供するなど、対象とする商品のターゲットに合わせ、購買証明を使い分けることが重要です。
マストバイキャンペーンのメリットとデメリット
マストバイキャンペーンには、企業にとって多くのメリットがありますが、同時にやデメリットもあります。これらをよく理解することで、マストバイキャンペーンの実施に役立てましょう。
マストバイキャンペーン実施のメリット
①売上向上
直接的な売上向上が期待できるという点が挙げられます。消費者がキャンペーンに参加するためには必ず商品を購入する必要があるため、その分売上が増加します。また、消費者が特定の商品を購入する動機付けとなるため、在庫の回転率を上げることができます。消費者が応募したくなるように魅力的な賞品や企画を選定することで、売上向上に大きく貢献するでしょう。
②ブランド認知度向上
ブランド認知度の向上も期待できます。魅力的な景品やユニークなキャンペーン内容は、消費者の関心を引きやすく、SNSや口コミで広がりやすい傾向があります。これにより、キャンペーンを通じてブランドの認知度が高まり、新規顧客の獲得にもつながります。
③リピート購入の促進
既存顧客のリピート購入を促進する効果もあります。キャンペーンを通じてブランドに対するロイヤルティが高まり、長期的な顧客関係の構築に寄与します。
④消費者データの収集
マストバイキャンペーンは消費者の購買データを取得するチャンスでもあります。キャンペーンに参加する際に消費者情報を収集することで、マーケティング戦略の精度を上げるための貴重なデータが得られます。
これにより、今後のプロモーション活動や新商品の開発において、よりターゲットを絞った効果的なアプローチが可能となります。
以上のように、マストバイキャンペーンは売上向上、ブランド認知度の向上、顧客ロイヤルティの強化、マーケティングデータの収集といった多くのメリットを提供します。これらのメリットを最大限に活かすことで、企業のビジネス成長に大きく寄与することができます。
マストバイキャンペーン実施のデメリット
①敷居の高さ
まず、消費者にとっては「購入しなければ応募できない」という敷居の高さが挙げられます。これは、特に低価格帯の商品や新規顧客をターゲットにした場合、消費者が購入をためらう要因となり得ます。
新規顧客をターゲットにしたキャンペーンではオープンキャンペーンや必ずもらえるキャンペーンを、既存顧客のLTV向上にはマストバイキャンペーンを利用するなど、目的に応じて使い分ける必要があります。
②実施コスト
キャンペーンの実施に伴うコストが大きいことが挙げられます。景品の準備や応募者の管理、プロモーション活動など、全体的な運営コストがかかります。
また、キャンペーンが成功しなかった場合のリスクも無視できません。売上が伸びず、在庫が余る可能性があります。失敗を防ぐためにはしっかりとした企画立案、魅力的な商品の選定、ユーザビリティを考慮した応募フローの構築などが必要になります。
③法的リスク
キャンペーンを実施する中で法的リスクも存在します。キャンペーンの内容や景品の提供方法が景表法などの法律に抵触する可能性があり、これに対する対策が必要です。
以上のように、マストバイキャンペーンには多くの魅力がある一方で、成功させるためにはさまざまな課題をクリアする必要があります。企業はこれらのデメリットを十分に理解し、適切な対策を講じることで、キャンペーンの成功に近づけるでしょう。
マストバイキャンペーンを成功させるためのポイントや注意点
実施ガイド
マストバイキャンペーンの成功には、計画から実行、評価まで一貫したステップが重要です。以下に、キャンペーンの実施ガイドを提供します。
ステップ | 説明 |
---|---|
1. 目的の設定 | マストバイキャンペーンを実施する目的を明確に設定します。 売上の向上、ブランド認知度の向上、新商品のプロモーションなど、具体的な目標を定めることで、キャンペーン全体の方向性が決まります。 |
2. 商品と景品の選定 | 目的に合わせて、キャンペーン対象商品と景品を選びます。 魅力的な景品は応募者の関心を引き、商品の購買意欲を高めます。 景品はターゲットオーディエンスにとって価値のあるものを選びましょう。 |
3. キャンペーンのルール設定 | 応募方法や条件、応募期間などのキャンペーンルールを詳細に設定します。 ルールはシンプルかつ明確であることが重要です。 複雑なルールは応募者を混乱させ、参加意欲を削ぐ可能性があります。 |
4. プラットフォーム選定 | 応募受付のプラットフォームを選びます。 ウェブサイト、専用アプリ、SNSなど、ターゲットオーディエンスが利用しやすいプラットフォームを選定しましょう。 |
5. プロモーション計画 | キャンペーンの認知を広げるためのプロモーション計画を立てます。 SNS広告、メールマーケティング、インフルエンサーコラボなど、多角的なアプローチで情報を拡散します。 また、店舗内プロモーションやパッケージにキャンペーン情報を記載することも有効です。 |
6. 実施とモニタリング | キャンペーンを開始し、応募状況をリアルタイムでモニタリングします。 応募数やエンゲージメント率を定期的にチェックし、必要に応じてプロモーション方法を調整します。 |
7. 応募の確認と景品発送 | 応募が終了したら、応募内容の確認を行い、当選者を決定します。 景品の発送手続きもスムーズに行うために、発送スケジュールや在庫管理を事前に整備しておきましょう。 |
8. 結果の分析と評価 | キャンペーン終了後、結果を分析します。売上の増加、応募者数、SNSでの話題性など、設定した目的に対する達成度を評価します。 成功要因と改善点を洗い出し、次回のキャンペーンに活かします。 |
9. 次回への準備 | 最後に、得られたデータとフィードバックを基に、次回のキャンペーンの計画を立てます。継続的な改善と新たなアイデアの導入により、より効果的なキャンペーンを実現できるでしょう。 |
対象商品選定のポイント
マストバイキャンペーンを成功させるためには、商品選定が非常に重要です。適切な商品を選ぶことで、キャンペーンの魅力が増し、参加者の購買意欲を高めることができます。
以下に、商品選定の際に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
①ターゲットのニーズを理解する
ターゲットのニーズを理解することが肝要です。キャンペーンのターゲットとなる顧客層がどのような商品に興味を持っているかを調査し、そのニーズに合った商品を選定することが必要です。
例えば、若者向けのキャンペーンであれば、トレンドをおさえた商品や人気の高いブランドを選ぶことが効果的です。
②適切な価格帯の商品を選定する
次に、商品の価格帯も重要な要素です。高価すぎる商品を条件にすると、参加者が少なくなる可能性があります。一方で、安価すぎる商品では、キャンペーン自体の魅力が薄れてしまいます。
適度な価格帯の商品を選び、参加者が無理なく購入できる範囲内で設定しましょう。
③商品の独自性と実用性
商品の独自性も考慮すべきポイントです。他にはない独自の商品や限定品をキャンペーンの対象とすることで、参加者の関心を引くことができます。特に、限定品やコラボ商品は消費者の購買意欲を高める効果があります。
以上のポイントを考慮して商品を選定することで、マストバイキャンペーンの成功を大いに期待できるでしょう。適切な商品選定は、キャンペーンの魅力を最大限に引き出し、参加者の購買意欲を高める鍵となります。
景表法に基づいたキャンペーンの注意点
景表法とは
景品表示法(景表法)は、消費者を誤解させるような表示や、過大な景品提供を規制する基本的な法律です。この法律に基づき、マストバイキャンペーンを実施する際にはいくつかの重要な注意点があります。
まず、景品表示法の基礎を理解することが重要です。景品表示法は、消費者を保護するために設けられた法律であり、特に景品やキャンペーンの内容が誤解を招くことを防ぐための規制が含まれています。
キャンペーンを実施する際には、これらの法律を遵守することが必須です。
景品の設定に関する規制
景品表示法では、景品の上限額が定められており、キャンペーンで提供する景品の価格がこれを超えないように注意する必要があります。
景表法では企業が生活者に対して景品を提供する懸賞は下記の3種類に分類されています。
- 「総付景品」(利用者や来店者にもれなく景品を提供する懸賞)
- 「共同懸賞」(複数の事業者が参加する懸賞)
- 「一般懸賞」(上記以外の懸賞)
マストバイキャンペーンでは「共同懸賞」「一般懸賞」が当てはまり、それぞれの上限は下記になります。
一般懸賞の場合
懸賞による取引価額 | 最高額 | 総額 |
---|---|---|
5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
5,000円以上 | 10万円 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
共同懸賞の場合
最高額 | 総額 |
---|---|
取引価額にかかわらず30万円 | 懸賞に係る売上予定総額の3% |
例えば定価300円の商品を対象にしたマストバイキャンペーンでは「一般懸賞」にあたり取引額の20倍にあたる6,000円が上限額となります。
これを超える景品を設定すると法律違反となりますので、景品選定時には十分な注意が必要です。
まとめ
マストバイキャンペーンについて、基本的な情報をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
マストバイキャンペーンは非常に魅力的な販促活動であると共に、様々な制約や注意すべき点が存在します。
マストバイキャンペーンを成功させるためには、専門的な知識や効果的なツールが必要になります。
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